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パリからの風 
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obpf

Author:obpf
フランス・パリを拠点に活動する
オーボエ&ピアノデュオ。

NaokoとYokoの
コンサート情報をお届けします。



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プログラムノート


今年のプログラムは、主に近現代(19世紀後半以降)の作品を中心に構成されています。
特に、ユクセル・コプタゲルさんと渡会美帆さん、お二人の現代作曲家とその作品との出会いは、
私たちにとって特別なものでしたので、演奏する前に、少しお話ししておきたいと思います。

Yuksel Koptagel(1934- ) 日本の漁師の二つの詩~ヒロシマに捧ぐ
ユクセル・コプタゲルさんとの出会いは、思いがけない偶然からでした。
数年前のパリでのコンサートに、たまたま足を運んでくださり、
終演後に、私たちに声を掛けてくださったのです。
彼女はトルコ出身の作曲家で、フランスで勉強していたこと、
若い頃日本で作品を演奏したことがあること、
日本を題材にした曲を幾つか書いていること…
短い時間に色々とお話をしました。
今度、楽譜を送るわね!と言って帰って行かれ、
数日後、彼女の作品の幾つかを郵送してくださいました。

その中の一つが、今回演奏する「日本の漁師の二つの詩~ヒロシマに捧ぐ」でした。

元はメゾ・ソプラノとピアノのための歌曲で、
トルコ人の詩人で社会運動家でもあったヒクメットの詩(のフランス語訳)に作曲されたものです。
ヒロシマに捧ぐ、と曲の冒頭に記されているので、原爆に関した詩と最初は思いましたが、
調べてみると、「第五福竜丸事件」の日本の漁師を悼んだ詩、ということが分かりました。

ユクセルさんがNHKに招かれて、彼女の作品を演奏したのは1950年代のことです。
戦後の色がまだ残る日本の印象、そしてこの事件は大きな衝撃だったのかもしれません。
この作品の冒頭に記された「ヒロシマに捧ぐ」という献辞は、
核の犠牲となった全ての人々に捧げる、という意味なのだと思います。

送ってくださった楽譜を前に、私たちは、
この曲を日本に持って行かねば、という思いに駆られました。
元は歌曲ではありますが、メロディーラインとハーモニーから、
詩の内容をすでに深く感じ取ることができます。
今回、日本で初めて演奏するにあたり、詩を日本語訳してみましたので、ご興味のある方は、
こちらをご覧下さい。



渡会美帆 3つの東北民謡による幻想曲
友人である渡会美帆さんにオーボエとピアノのデュオへの曲を書いてほしい、とお願いしたのは、
彼女が作品の発表をするためにパリを訪れた時でした。

以下、今回のコンサートのために渡会さんご本人が記してくださった、
曲目解説に、この曲の成り立ちが詳しいので、転載いたします。

”この曲は昨年2011年2月に、「パリからの風」2012日本ツアープログラム用の委嘱作品として依頼を頂き作曲しました。依頼頂いた直後の3月11日の大震災が起こり、大変な状況を目の当たりにしながら、一つの素材として東北民謡という選択肢が自分の中に出てきました。
(あの状況で当時はやはりこの出来事を無視して創作をする、という事は出来ず、だからと言って、現場を経験もせず安易に創作をするのは被災者の方や亡くなられた方に非常に失礼だと思ったので、きっかけはこの震災ではありましたが、自分が純粋に美しいと感じた東北民謡の素材を使って創作すると言う事だけ考え創作させて頂きました。)
曲は「相馬節(福島民謡)」、「文字甚句(宮城民謡)」、「釜石浜唄(岩手民謡)」、「フィナーレ」の4つのセクションで構成されており、3つの民謡のセクションでは、それぞれの民謡がもともと持つ素材の美しさを出来るだけ引き立たせ、最後の「フィナーレ」で3つの民謡のモチーフを使用し、技巧的なパッセージを展開させる形となっています。… ”

私たちから、加えさせていただくとすれば、
渡会さんもおっしゃっているように、民謡本来の美しさ、
歌い継がれてきたことから生じるのであろうしなやかな強さ、とでも言うような
そのポジティブなパワーを、この曲のモチーフとなった三つの民謡から感じる、ということです。
昨年から今年にかけて、この曲をパリでも演奏してきましたが、
聴きに来られた方の感想で記憶に残っている一言をご紹介します。
「日本の伝統的なメロディーやリズムがベースにあるのは感じたけど、
国や地域を越えて皆が何か懐かしい気持ちになるようなものがあったように思う。
自然と"希望(espoir)"という言葉を強く感じた。」
この一言に、私たちが力づけられたのを覚えています。

そして、"素材"を発展させ、この曲に昇華された渡会さんの作曲技法やセンスには、
弾けば弾くほど、だんだん深く感じ入ります。
とりわけ、細部に息づく彼女自身が繰り返したであろう素材との対話からは、
民謡について、日本の文化について、音楽について、たくさんのことを発見しました。
取り組んでいる作品に関して、作曲家ご本人と直接ディスカッションできる、という体験も、
素晴らしいものでした。
何より、オーボエの音色が日本の民謡の息遣いとこんなに合うとは!
それもうれしい発見のひとつです。

* * *

以上、少し長くなりましたが、ぜひ曲を聴いていただく前にお伝えしておきたい、
お二人との関わりでした。
どんな風に彼女たちの音楽が響くのか、会場に確かめにいらしていただけたら、うれしいです!





No.51 / 2012.07.09 23:52 / 2012年日本公演 / Comment*0 / TB*0 // PageTop▲

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